【1890年(明治23年)11月10日】日本初のエレベーターが設置

歴史を振り返る~今週の出来事~

1890年(明治23年)11月10日、東京・浅草に完成した12階建ての展望塔「凌雲閣」に、日本初の電動式エレベーターが設置されました。

日本エレベーター協会では、この11月10日を「エレベーターの日」と定めました。

凌雲閣は「雲を凌ぐほど高い」という意味が込められ、その高さは52メートルと当時の日本で一番の高さを誇りました。

12階建てだったことから「浅草十二階」とも呼ばれており、このうち1階から8階部分に日本で初めての電動エレベーターが導入されました。

これは、日本一の高さをもってしても、12階建てを階段で上るとなれば客足が伸びない可能性があることを懸念したためです。

閣内中央につるべ式で設置されていた2台のエレベーターは、1階から8階までを1分ほどで昇降していました。

また、内部の壁際には布団を敷いた腰掛けがあり、一度に15〜20人載せていたという記録も残されています。

一躍浅草の新名所として有名となった凌雲閣ですが、度重なる故障や落下防止装置が不十分という理由で警察から指示を受け、エレベーターはわずか半年で運転停止を余儀なくされました。

開業当初に来日したアメリカ人貿易商も「手入れが行き届いていない電動エレベーター」と苦言したと言われています。

しかし、1914年にはエレベーターの稼働が再開。

凌雲閣は浅草のシンボル的存在とされ、当時の浅草を描く風景画の多くに、凌雲閣が描かれています。

ですが、1923年、関東大震災が起こります。

凌雲閣も地震により大打撃を受け、8階から上が倒壊。

下の階も傾いてしまったため再建が検討されましたが、経営難の状態が続いていたため、解体が決定しました。

浅草を代表する名所として長年賑わっていた凌雲閣でしたが、33年でその幕を閉じました。

その後、凌雲閣の跡地には劇場が建てられ、現在は娯楽施設となっています。

現在、凌雲閣は取り壊されたため、当時のエレベーターは見ることはできませんが、現存する日本最古のエレベーターを京都にある老舗北京料理店の「東華菜館」で見ることが可能です。

東華菜館のエレベーターは1924年にアメリカで製造・輸入されたオーチス製のものです。

このエレベーターには、当時の技術や部品が詰め込まれていました。

エレベーターは電動ですが、上下の移動は手動のハンドルで操作を行います。

ハンドルレバーを手前に引き、左に動かすと下方向、右へ動かすと上方向へ、

真ん中に戻すと停止します。

日本最古のエレベーターでタイムスリップ体験ができる中華料理店です!